急ぎの仕事ほど、いつも同じ人に頼んでしまう。悪気はないのに、気づけばその人の業務量だけが膨らんでいる——多くのマネージャーに心当たりのあるこの偏りは、その人を特別扱いしているからでも、他のメンバーを軽視しているからでもありません。頼む瞬間に、他の人がどれだけ抱えているかが見えていないことが原因です。この記事では、業務が特定の人に偏る本当の理由と、公平さを呼びかけずに配分を整える仕組みを整理します。
業務を頼むとき、マネージャーは無意識に「確実にやってくれる人」「説明が少なくて済む人」を選びます。一度うまくいくと、次も同じ人に頼みたくなる。一つひとつの判断は合理的で、悪気もありません。ところが、この判断を毎回積み重ねた結果として、気づいたときには一人にだけ業務が集中しているという状態が出来上がります。
これは能力や信頼の差というより、依頼する瞬間に他の選択肢の状況が見えていないことの結果です。頭の中にあるのは「この人なら安心」という記憶だけで、「他の人は今どのくらい空いているか」という情報は、そもそも判断材料として持ち合わせていません。
偏りに気づいて他のメンバーに振ろうとしても、「今ちょっと立て込んでいて」と返ってくることがあります。ここで多くのマネージャーが陥るのが、次の悪循環です。
「みんなに公平に振ろう」という意識だけでは、この構造は変わりません。必要なのは意識ではなく、聞かずに分かる状態です。
偏りを解消するために、評価制度を見直したり、ローテーションのルールを新しく作ったりする必要はありません。まずやるべきはもっと手前のことで、業務を割り振るその瞬間に、誰がどれだけ抱えているかが一目で分かるようにすることです。
この情報さえあれば、マネージャーは「Aさんに任せた方が早い」という感覚だけでなく、「Aさんは今4件抱えているから、今回はBさんに」という判断ができます。特別な仕組みや会議は要りません。依頼する画面の中に、その情報が最初から見えていればいいだけです。
この考え方をそのまま形にしたのがシコミの担当者選択画面です。業務を割り当てる際、メンバーごとのカードに「未完了◯件」もしくは業務を抱えていない場合は「空き」が表示され、5件以上抱えているメンバーは色で強調されます。「空きのメンバーだけ表示」で絞り込むこともできるので、聞いて回らなくても、今頼んでいい人がその場で分かります。
この表示があるのは、業務を割り当てるその瞬間だけです。誰が何件こなしたかの推移を記録したり、メンバー同士を比較してランキング化したりする機能はありません。あくまで「今、この人に頼んでいいか」を判断するための一時的な目安であり、評価や監視のための数字ではないという設計です。
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