「あれもこれも」と立て続けに指示を出したら、部下が期限の近い方を後回しにして、急ぎでない方から手をつけていた——こうしたすれ違いは、部下の判断力が足りないからではありません。優先度が業務ごとに記録されず、口頭やその場の会話だけで伝わっていることが原因です。何から手をつけるべきかが毎回あいまいになる理由と、指示のたびに優先度が残る仕組みを整理します。
複数の仕事を抱えた部下に「優先順位は自分で考えて」と任せると、判断基準は人によって変わります。最近頼まれたことを優先する人、声をかけられた順にこなす人、自分がやりやすい仕事から片づける人——悪気はなくても、基準が揃っていなければ結果として順番はバラバラになります。
「納期が近いものを優先する」「お客様対応に関わるものを優先する」といった判断基準を言葉で説明することは有効ですが、それを毎回口頭で伝え続けるのは、結局マネージャー側の手間が減らないという意味では根本策になりません。
指示を出す時に「これ急ぎでお願い」と口頭やチャットで伝えれば、その瞬間は伝わります。問題は、その後です。別の業務を頼まれたり、他の誰かから急ぎの用件が入ったりすると、どちらが本当に優先だったかは本人の記憶に頼るしかなくなります。頼んだ側も、自分がいつ何を「急ぎ」と言ったかまでは覚えていません。
結果として、期限が近い方を後回しにしたり、優先度の低い作業を先に終わらせてから急ぎの仕事に着手したりする、という食い違いが起こります。これは部下が指示を軽視しているのではなく、優先度という情報だけが指示の記録から抜け落ちているためです。
優先度が記録に残らないと、マネージャーは同じことを何度も説明することになります。「さっき言った方が先だよ」「そっちより、こっちを先にお願い」——これを繰り返すうちに、任せたはずの仕事の順番調整までマネージャーの仕事になってしまいます。部下に「自分で考えて」と言いながら、実際には毎回指示し直しているという矛盾が起きるのはこのためです。
部下の優先順位づけ能力を育てることは長期的には大切ですが、目の前で起きているすれ違いを止めるには、もっと直接的な手当てが必要です。優先度を部下に毎回判断させるのではなく、指示を出す側が最初から業務に付けて残す——これだけで、判断基準のズレも、口頭の言った言わないも起きなくなります。
シコミで業務を割り当てる時、「緊急・通常・低」のいずれかを選んで渡せます。この優先度は業務に紐づいたまま一覧表示され、部下は自分の担当業務を開けば、何が緊急で何がそうでないかがタグとして並んでいる状態で確認できます。マネージャーが「そっちより先にこっち」と説明し直す必要はありません。
進捗率やタスクの重要度スコアのような複雑な指標は持たせていません。業務を割り当てる時に一度、優先度を選ぶだけです。それだけで、次に何をすべきかの判断材料が、口頭の記憶ではなく画面上に残ります。
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